~“なぜ進まない?なぜ現場で変わらない?”に徹底的に迫る~
はじめに|「なぜうちだけ?」と悩むリーダーへ
「DXを始めたはずなのに、なぜか現場がついてこない」「仕組みを変えても仕事は変わらない」――
あなたが感じている“もどかしさ”、それは多くの現場で何度も繰り返されてきた壁です。
ナレッジシステムズ/CxO研究室では、現場ヒアリングやコンサルの現場で、“DXがうまくいかない会社に共通する3つの落とし穴”を何度も見てきました。
この記事では単なるノウハウや一般論ではなく、「なぜ現場が動かないのか?」という本質に現場目線で切り込みます。
1. “DX=IT導入”の誤解で現場が遠ざかる
ありがちな誤解とリアル
「クラウド化したからDX完了」「AIを入れたから変革できたはず」――
この“手段=目的化”こそ、多くの現場が動かなくなる最大の原因です。
現場スタッフの本音:
「便利になるどころか、新システムの入力で仕事が増えただけ…」
「紙からデジタルに変わったけど、実際は紙と並行運用で手間が倍増した」
ある流通現場では、新システムが導入されたものの、マニュアルも運用ルールも現場任せ。
結果、現場は「前のやり方のほうが早い」と旧システムを内々で使い続けていた――
“DX迷子”に陥る典型的な例です。
プロ視点の「現場巻き込み設計」
- 業務設計の初期段階から現場メンバーを必ず含める
- 「システムで変わるのは“誰の何の仕事”か?」を現場の言葉で洗い出す
- 「現場の日常を、どう“ラクに・価値あるもの”へ変えるのか?」を共に考える
- ITベンダー任せにせず、“現場×設計担当”の対話機会を必ず設計する
2. “現場の声”を拾わず進めてしまう落とし穴
ありがちな流れと現場の悲鳴
経営層やDX推進チームが“現場抜き”で計画を作成→導入時に通知だけというプロセスは実際によくあります。
しかし、現場に“自分ごと感”がないまま進む改革は、ほぼ例外なく空回りします。
現場スタッフの声:
「何の説明もないまま“来月からこのシステムね”と言われて、誰も納得していない」
「結局、“本音”を言える場がない。上司には言ってもムダだと思っている」
プロが現場でやっている「納得感の設計」
- ヒアリングは“アンケート”で済ませない。必ず“現場での対話”を重視
- 「困っていること」「変わってほしい仕事」を現場のリアルな言葉で吸い上げる
- “小さな改善”や“現場提案”を反映する“フィードバックループ”を設計
- 変革後も“現場の困りごとがちゃんと減ったか”を定期的に確認
3. 成果指標が「現場と無関係」になっている
KPI先行の“空中戦”がもたらす現場の無力感
「KPIは達成しているのに、なぜか現場はやる気を失っている」
実はこれ、数字だけを上から押し付けた“絵に描いた餅型DX”でよく起こる現象です。
現場のリアル:
「評価指標は毎年変わるけど、“現場で何が変わったのか”は誰も答えられない」
「目標達成のために“やったフリ”が蔓延して、本当の改善が進まない」
本当に“現場が動く”ための指標設計
- KPIや成果指標は、“現場の実感値”と必ずセットで設計
- 現場メンバー自身に「どこが改善したか」を語ってもらう
- 数字(稼働率・残業時間など)+“現場の納得コメント”をダブルで追う
- 「現場の課題感」や「負担減」の変化を毎月レビューする
■「よくある誤解・現場の本音」を深堀り
- 「現場の抵抗」が問題ではなく、「設計の透明性・現場参加の仕組み」が不足しているだけ
- 「トップダウン」でも、「現場主体」でもなく、“両者の対話設計”が必須
- 現場で失敗したとき、「誰かのせい」にしない。“仕組み設計”に問題がないか必ず再点検
■“うまくいく現場”と“失敗現場”の対比
| 成功するDX | 失敗するDX |
|---|---|
| 初期から現場を巻き込む | 推進部門だけで計画を作る |
| システム導入後も現場改善を続ける | ツールを入れて終わり |
| 「数字+現場の声」で評価 | KPIや数字だけで評価 |
| 業務設計・運用ルールも現場主導 | ITベンダーや本部任せ |
おわりに|現場が動けばDXは動く
DXの失敗は、「現場が変わらなかった」ことではなく「現場が“納得できなかった”」ことが最大の原因です。
仕組み・数字・IT――そのどれもが「現場で“腹落ち”して初めて動き出す」のが現実。
もし今うまくいっていないなら、一度“現場の声”に耳を澄ませ、仕組みや設計を見直してみてください。
どんなにシンプルなヒアリングでも、小さな改善提案でも、「現場が自分ごととして語り始めた瞬間」にDXは本当に動き出します。
◆現場リーダー・推進担当者へのエール
- 「現場の声を聞く」のは、“弱さ”ではなく“設計の力”
- 「わかってもらえた」と現場が思えた瞬間、推進の壁は一気に低くなる
- 一緒に“納得感のあるDX”を進めていきましょう!
関連リンク・資料
- 【X(旧Twitter)】@CxO_lab|日々、現場視点DXノウハウを発信中
